【大家必見】空室になってからやるべき5つのステップ

この記事でわかること

  • 退去時に確認する内容
  • 賃料相場の調べ方
  • 入居者募集の方法
  • 退去時の物件確認と修理業者の手配
  • 火災保険が利用できるケースと利用できないケースの把握

不動産投資には「空室リスク」が伴います。そのため、空室をいかに埋められるかが不動産投資の成功を左右すると言えるでしょう。

しかし、空室を埋めるための流れを把握できていないと、スムーズな入居付けが難しくなります。そこでこの記事では、不動産投資を行う大家さん向けに、空室になってからやるべき5つのステップを詳しく解説します。

この記事を最後まで読んで5つのステップをしっかり頭に入れておけば、空室から入居付けまでを「流れ作業」としてスムーズな処理が可能です。

ステップ1. 退去日の確認をする

最初のステップで行うのが「退去日」の確認です。入居者からの退去連絡があった際に、契約書のルールにしたがって退去日を設定します。契約内容によっては、入居者の希望日に退去させられないケースがあるため覚えておきましょう。

退去予告は1ヶ月前が一般的

契約内容によって異なりますが、退去する1ヶ月前に設定されているケースが多いです。例えば12月31日に退去する場合、遅くとも11月30日までに退去連絡をする必要があります。

電話などの口頭で連絡する場合、管理会社に連絡した日が退去受付日となります。ただし、契約内容によっては書面での提出を必要としている場合があります。その場合、書面が届いた日が退去受付日となるのが一般的です。

書面で退去届をもらう

退去予告を口頭のみで受け付ける管理会社がありますが、口頭で連絡をもらったとしても、その後書面で受け付ける形とするのがおすすめです。口頭の場合「退去を伝えた日」や「退去希望日」に対して、入居者との認識がずれる恐れがあります。さらに内容を確認するために、退去届には以下の内容を記載するのが一般的です。

項目内容
物件の情報所在地、物件名、部屋番号
契約者の情報氏名、電話番号
作成日・提出日退去届の作成日
退去希望日退去希望日の記載
退去の理由転勤、実家への帰省など
引越し先の情報引越し先が決まっている場合は新しい住所(敷金の清算書や請求書などを送付するため)
振込先の情報敷金返金や家賃日割り分を返金するため

退去に関する情報は細かいため、内容を把握するためにも書面での解約届提出がおすすめです。

ステップ2. 周辺の賃料相場を調査する

新たな入居者を募集する前に、周辺の賃料相場を再度調査します。特に、長い期間入居していた場合は、入念な調査を行いましょう。当時の賃料相場よりも、現在の賃料相場の方が高くなっている可能性があるからです。ここでは、賃料相場の調査方法を解説します。

ポータルサイトで調べる

賃貸物件が掲載されているポータルサイトを2〜3つ選んで、対象物件の条件に近い賃料を調べてみましょう。しかし間取りや築年数によって、賃料が大きく異なります。物件をピックアップする際には以下の点に注意が必要です。

  • 間取りが同じの物件を選ぶ
  • 築年数が±3年くらいの物件を選ぶ
  • エリアが一緒の物件を選ぶ
  • 細かい条件(オートロック、インターネット無料、エアコン付など)が一緒の物件を選ぶ

対象エリアの物件が少ない場合は、隣の駅周辺の物件情報を集めるのも良いでしょう。

周辺相場をもとにデータを分析する

周辺の家賃相場をいくつかピックアップしたら、適正な賃料の設定額を決めます。

物件名間取り築年数エリア条件面賃料
対象物件1LDK5年新宿ペット可・インターネット無料8万円
物件A1LDK5年新宿ペット可・オートロック付12万円
物件B1LDK4年新宿ペット不可・インターネット無料10万円
物件C1LDK6年代々木ペット可・オートロック付11万円
物件D1DK5年新宿ペット不可・インターネット無料10万円

上記の表を参考にすると、現在の対象物件の賃料は相場よりも安くなっています。新たに募集する際には、賃料10〜12万円くらいまで高く設定可能です。

周辺の相場を分析することで適正賃料で募集ができるため、損をせず安定した賃貸経営に繋がります。

不動産会社に相談する

ポータルサイトで募集されている賃料は、あくまでも成約前の金額です。実査に成約したときの賃料を知るためには、不動産会社に実際に確認するのがおすすめです。

対象物件のエリアに強い不動産会社なら、実績も豊富にあるためたくさんの情報を把握しています。実際に足を運んでみて、確認してみましょう。

複数の不動産会社に相談することが、具体的な相場の賃料を知る近道です。

ステップ3. 新たな入居募集を行う

賃料が決まったら、速やかに新たな入居者募集を行いましょう。早急な入居付けを行うために、退去の申し出があってから入居者募集までは、できるだけ間隔を空けずに行うのが重要です。ここでは、入居募集を行う5つの方法を解説します。   

ポータルサイトに掲載する

近年では、パソコンやスマホから賃貸物件を探すのが主流です。そのため、物件を探す多くの人がポータルサイトを利用しています。不動産会社がポータルサイトに加入しているケースが多いため、物件の掲載をお願いしてみましょう。

SNSで募集する

ポータルサイト同様、SNSで物件を探す不動産会社や入居希望者の方も多いです。室内の写真や間取りなどを掲載することで、物件を探している利用者の目に留まります。大家さん自身でも発信できるため、気軽に始められるおすすめのツールです。

入居者募集の看板やのぼりを立てる

物件の現地に「入居者募集」の看板やのぼりを立てることで、入居希望者を募る方法です。近くに住んでいる方や、通行人などに物件の存在を示せます。

退去の申し出があったその日に、募集看板やのぼりを設置することで「貸し逃し」を防ぐことが可能です。

入居者に紹介を募る

退去が出る物件の現入居者に、新たな入居者を紹介してもらう方法があります。現入居者の中には、物件を探している知り合いがいる場合があるからです。入居者を募集している旨を、チラシやメールなどで知らせます。

紹介者に「クオカード」などの特典を用意すれば、さらに効果的です。

周辺にチラシを配る

入居者募集のチラシを作成して、周辺のエリアにポスティングするのがおすすめです。近くに住んでいる方の中には、物件が空くのを待っている方が意外といます。ポータルサイトやSNSを利用していない方や、年配の方にとっては目につきやすいため、反響に結びつきやすいです。 

ステップ4. 原状回復箇所の確認と修理業者の手配を行う

ここでは、退去時に行う5つのポイントを解説します。

退去時に立会う

退去日には、実際に入居者と一緒に「退去立会」を行いましょう。退去立会時のポイントとしては、家具や家電などの荷物をからっぽにした状態で行うのが重要です。

荷物がそのままの状態では、部屋の傷や汚れが確認できません。さらに万が一、荷物が残っている状態で退去立会を完了させてしまうと、置きっぱなしで逃げられるケースがあるため注意が必要です。   

ライフラインの閉栓手続きの確認を行う

入居者に、ライフラインの閉栓手続きが完了しているかの確認が必要です。

  • 水道
  • 電気
  • ガス

ライフラインの閉栓手続きが完了していないと、新たな入居者がスムーズに使用できなくなります。退去の申し出があった際に伝えるか、退去届に一言記載しておけば入居者も分かりやすくおすすめです。

入居者と一緒に物件の状態を確認する

退去時には、入居者と一緒に立ち会うようにしましょう。部屋の状態を一緒に確認できるため、トラブルを防ぎます。例えば、壁がタバコのヤニで汚れていたり、建具が破損している原因をその場で確認することが可能です。

「退去立会時チェックリスト」にサインをもらう

退去立会完了後に、部屋の状態をお互い確認した証拠として「チェックリスト」にサインをいただくようにしましょう。チェックリストには、部屋の場所ごとに設備等の損耗の有無を記載します。


場所

箇所
入居時退去時
損耗具体的な状況損耗具体的な状況


玄関・廊下
天井
ヤニの汚れアリ
シミあり

この場合、入居中にタバコのヤニで壁を汚したのがチェックできます。一方で、床のシミは入居時からあるため大家さんの原状回復となります。入居時と退去時の違いを比較すれば、自然消耗なのか入居者による故意的な傷や汚れなのかが見やすいです。

参考資料:国土交通省|入退去時の物件状況及び原状回復確認リスト(例)

修理業者に見積依頼を行い発注する 

退去立会が完了して、修繕箇所がある場合は修理業者に見積を依頼します。見積もりが修理業者から届いたら、入居者に負担してもらう費用分の請求を行いましょう。そして、新たな入居者のために原状回復工事を発注して完了すれば、入居の準備完了です。 

ステップ5. 保険の申請を行う

原状回復時の費用は、火災保険の適用になるケースがあります。ここでは、火災保険が利用できるケースとできないケースをそれぞれ解説します。

火災保険が利用できるケース

火災保険が利用できる原状回復の主なケースは以下の通りです。

  • 物を落下させて壊れた設備や床の傷の補修
  • 配管の水漏れによるフローリング張替え工事
  • ボールや物が飛んできた際に割れたガラス取替え費用

十分に注意していても傷を付けてしまった場合や、台風などの影響でものが飛んできたことによる損害などには火災保険が適用できます。

火災保険が利用できないケース

一方で、火災保険が利用できない原状回復は以下の通りです。

  • 子どもの落書きによる壁紙の汚れ
  • 日焼けや経年劣化による壁紙やフローリングの張替え
  • 家具を置いたことでできた床や畳のへこみ

経年劣化や入居者の過失でできた傷や汚れは、火災保険の対象となりません。保険会社によって、判断が分かれることになるため確認してみましょう。

火災保険で原状回復費用を賄えれば、大家さんの費用負担が軽減できます。

まとめ

空室を埋めるためには、この記事で解説した5つのステップを踏んでいくことが必要です。ステップを把握しておけばスムーズな入居付けに繋がり、不動産投資の「空室リスク」を、少しでも軽減できるのではないでしょうか。

空室から入居付けまでを「流れ作業」としてマスターし、賃貸経営を安定させましょう。

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