物件分析

2024年3月28日

不動産AIが斬る!この物件どう思う? 高円寺 築8年 6.0%

物件概要書

所在地東京都杉並区高円寺北2丁目
アクセスJR総武・中央緩行線 高円寺駅 徒歩10分JR総武・中央緩行線 中野駅 徒歩15分
販売価格3億750万円(うち建物1億3千万)
想定家賃収入年間 18,450,000円
(1,537,500円/月)
表面利回り6.0%
構造木造
築年月2018年12月(築6年)
土地権利所有権
土地面積180.33㎡ 
建物面積240.12㎡
間取り1R×22戸(9.00㎡〜9.30㎡)
階数2階建て
総戸数8戸(うち住宅8戸)
駐車場なし
建ぺい率60%
容積率200%
接道私道 5.00m,3.01m (角地)
地目宅地
都市計画区域市街化区域
現況賃貸中(満室)

エリアの特徴

高円寺は東京杉並区にある街で、東京都心から北西に約11キロメートルに位置している。JR中央線・総武線と東京メトロ丸ノ内線が乗り入れているため、交通の利便性が非常に高いエリアとなっている。

街の東側には環七通りが南北に走っており、南側には青梅街道が走っている。このため、東京都内のいろいろな場所から幹線道路だけを経由してたどり着ける便利な場所となっている。

高円寺の魅力は、なんといってもその独特な雰囲気にある。駅前には活気あふれる商店街が複数あり、個性的な古着屋や雑貨店、飲食店などが軒を連ねている。また、サブカルチャーの街としても知られており、ライブハウスや劇場、ギャラリーなども充実している。

高円寺純情商店街:約300店舗が並ぶ、高円寺を代表する商店街。昔懐かしい駄菓子屋や八百屋から、おしゃれなカフェや雑貨店まで、バラエティ豊かなお店が揃っています。

高円寺阿波踊り:毎年8月に行われる、高円寺最大のイベント。約1000人の踊り子が街を練り歩き、熱気あふれる祭りが繰り広げられます。

高円寺フェス:毎年9月に行われる、音楽とアートの祭典。国内外のアーティストによるライブやパフォーマンス、様々なジャンルのアート作品が展示されます。

座・高円寺:小劇場ブームの火付け役となった劇場。演劇や音楽、ダンスなど、様々なジャンルの公演が行われています。

阿佐ヶ谷パールセンター:約400店舗が並ぶ、アジア最大級の商店街。衣料品や生活雑貨はもちろん、食料品やレストランも充実しており、地元の人々に親しまれています。

高円寺の賃貸相場

家賃シミュレーターによると、高円寺で、徒歩10分、10平米、築年数6年、2階、1Rという条件での賃料は53,603円〜79,156円。適正相場は66,380円となっている。

本物件は1部屋あたり月額69,886円であり、適正家賃より5%程度ほど高いものの、全く集まらない程度というわけではない水準だ。

物件の特性

物件の特性としては、土地が広いことと、部屋数が多いこと、3億円を超える大きめの物件であることだ。不動産投資家にとって、不動産価格が「高い」「安い」というのは、絶対額ではなく、収益性や将来性に対して、現在の価格が高い、安いという評価をしている。しかし、3億円を超えてくると、絶対額として「高い」という評価が出てくる。割安ではあるが、手が届かないという意味で「高い」のだ。この物件もそれに当てはまる。

個人投資家にとっては手が届きにくい価格帯だが、小規模なファンドにとっては手を出せなくもない金額だ。多くの不動産ファンドは10億円以上を目安としているが、都内で一定の土地がある物件であれば、3億円でも検討するだろう。

しかし、この物件は22部屋もある。1部屋のサイズが10平米しか無い。前回の北千住(【関連記事】)と同様、狭小ワンルーム物件だ。投資ファンドはこういった非定型な物件は嫌がる。

結局、個人投資家しか興味を示さないが、個人投資家にとっては嵩が高く、手が届きにくい物件となっている。そのため、意外なほど大きな指値が通る可能性がある。

シミュレーション

物件の積算評価額は約3,700万

エリアの中でも幹線道路に面した角地であり、路線価は高め。土地の評価額が1億3千5百万となっている。一方、建物については木造で残存耐用年数が16年であることから、2,500万円しか出なかった。そのため積算価格は1.6億円となり、売値の52%程度しか出せていない。このため銀行評価は厳しく、融資にあたって自己資金を大きく求められる物件だ。

シミュレーション① 金利1.4%、融資期間30年の場合

この物件についてシミュレーションをしてみた。

融資期間が十分取れる場合、安全指数は33以上となり、極めて安全な水準にあるといえる。具体的には、年間の約1,845万円に対して、年間の返済額が900万円と、返済比率が50%未満になっている。稼働率が90%でも年間の手残りが500万円ある。これであれば、多少空室が出たとしても持ち出しなく運営することができるだろう。売却をうまく絡めれば、早期に元手を数倍にして回収し終えることも可能だ。

しかし、融資金額があまり伸びないと想定した。具体的には1億円の初期投資額を求められると考えられる。他の投資と比べた際に、年間の税引き後の手残りが500万あるというのは悪くないだろう。証券投資や債券投資と比較しても十分魅力のある投資になっている。

そのため、1億円を投じることができるプレイヤーにとってはいい物件と言える。

シミュレーション② 金利1.4%、融資期間が17年の場合

融資期間が減価償却年数と同じく17年となった場合をシミュレーションしてみよう。

安全指数は11前後となっており、まだ標準的な水準だ。売却のリターンを考えると、17−18年後ぐらいまで持って、売るのが良さそうだ。しかし、そのときには築年数23−25年ぐらいになっており、法定耐用年数は完全にオーバーする。そのため、買い手が融資に困る場面があるかもしれない。結果的に値下げをするぐらいなら、入居者が入れ替わるたびに賃貸契約を定期契約に切り替えていき、全員が定期契約となったあとに、入居者を整理して、更地として売ってしまうのがいいかもしれない。

まとめ「1億円出せるならアリ。出せないなら見送り」

シミュレーションで明らかになったように、手元資金が1億円ある人にとっては、それなりに収益を見込むことができる物件であり、買って損するということは考えにくいだろう。

一方で、1億をキャッシュで用意できるファンドや個人はそう多くない。したがって、こういった狭小物件は取り合いになることが多い。

もし買付が通ったときに、どういう対応をするのか、という対応体制を整えていく必要がありそうだ。

なお、シミュレーションのPDFファイルをここからダウンロードすることができる。

シミュレーション① 金利1.4%、融資期間30年の場合(PDF)

シミュレーション② 金利1.4%、融資期間が17年の場合(PDF)

収支シミュレーションに使うエクセルファイルはこちらで配布している。

また、このコーナーでは、分析記事に取り上げてほしい物件を募集している。「自分はこれからこういう物件を買おうと思っている」あるいは「自分の持っている物件の売りどきを判定してほしい」など、不動産AIに聞いてみたい方は、ぜひ問い合わせてほしい。

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