2024年3月26日
不動産にかかる税金は?知らないと怖い取得や保有、売却にかかる税金
不動産には、購入・保有・売却などさまざまな場面で税金が課されるため、不動産投資では税に関する正しい知識が不可欠です。特例によって減税が受けられる制度などは、不動産投資の成功の鍵を握るといっても過言ではありません。
この記事で分かること
- 不動産は購入・保有・売却などさまざまな場面で税金が課される
- 不動産に関わる税制には多くの特例措置があるため、これらを正しく活用して節税の対策を講じることも必要
- 不動産投資を成功させるためには、経費として認められる支出を正確に認識することが不可欠
知っておくべき不動産にかかる税金
不動産を購入、保有していると、さまざまな税金がかかります。比較的よく知られているのは、購入した際の不動産取得税や毎年かかる固定資産税、売却時に課される譲渡所得税などではないでしょうか。
しかし実際には、不動産に関わる税金はそれだけではありません。購入・保有・売却というそれぞれの場面で、他にも数多くの税金が課されます。
このため不動産を事業に活用して収益を上げるには、正しい税金の知識を持っておくことが不可欠といえるです。
不動産の取得にかかる税金
不動産を購入した際には、不動産取得税や登録免許税などの税金が課せられます。ただし、これらの税金の多くには自己居住用の住宅、つまりマイホームを購入した場合に受けられる軽減措置が設けられています。
逆の言い方をすれば、投資用物件の購入では多くの特例措置が適用されないため、税額が高くなりがちです。
どのような税金がかかるのか、その負担がいくらぐらいになるのかをしっかりと把握しておかなければなりません。
不動産取得税
不動産取得税とは、土地や建物などの不動産を取得した際に課される税金です。売買や新築による取得だけでなく、交換や贈与などによる取得も課税対象とされます。
固定資産税評価額を基準に税率4%で課税されるとしていますが、実際の税額の算出式は少し複雑です。住宅用の土地・建物であれば税率が3%に軽減される特例措置が取られているほか、自己居住用の不動産に対する税額控除の仕組みなどが設けられているからです。
また不動産取得税は、課税主体となる都道府県によって申告などの仕組みが異なることにも注意が必要です。
原則として不動産取得税申告書を提出することとされていますが、登記をすれば申告が不要とされます。しかし、都道府県によっては「軽減措置を受ける場合には別途申告が必要」とされるなど、各自治体で扱いが異なる点にも注意が必要です。
軽減が受けられない投資用物件では、少なくない税負担が発生する可能性があります。取得から数カ月程度の期間がたってから納税通知書が送られて来ることも知っておきましょう。
不動産会社でも、購入時の諸費用として不動産取得税を計上していないケースは少なくありません。
不動産と消費税
課税事業者から不動産を購入する場合には、建物価額に対して10%の消費税が課されます。土地は非課税とされているほか、建物に関しても売主が個人である場合などは消費税はかかりません。
また、2023年に開始されたインボイス制度が不動産賃貸経営に及ぼす影響を懸念されている方もいるかもしれません。
住宅の賃料には基本的に消費税がかからないため、マンション経営などでは影響は軽微といえますが、事業用に賃貸している場合などは対策が必要なケースも考えられます。
印紙税
印紙税は、印紙税法で定められた課税文書に対して課される税金です。不動産の取得する場面では、売買契約書や建築に関わる請負契約書、ローンを利用する際の金銭消費貸借契約書などが課税文書にあたります。
これらの文書に記載された額面に応じて税額が決まり、税相当額の印紙を貼付して納める形式です。
例えば5,000万円の物件を購入した場合の売買契約書に貼付する印紙は1万円、5,000万円のローンの契約書であれば2万円です。なお、売買契約書の印紙も本来であれば2万円なのですが、特例措置として税額が軽減されています。
また、契約を変更した場合の合意書なども課税対象となることを覚えておきましょう。特にこの場合、記載方法によって税額が異なる点にも注意が必要です。
例えば5,000万円の建築工事の請負契約を締結し、その後の設計変更で5,200万円に増額になったと仮定しましょう。この際、合意書に記載された内容によって、税額が大きく異なります。
記載金額が増加分の200万円であれば印紙税額は200円ですが、5,200万円と記載すると税額は3万円に跳ね上がります。
文書に記載された内容に応じて税額が変わるため、不安がある場合には最寄りの税務署に相談してみるとよいでしょう。
登録免許税
登録免許税は、不動産の登記の際に納める税金です。固定資産税評価額を基準に課税される仕組みで、所有権移転や保存など、土地・建物ごとに税率が定められています。
例えば売買による土地・建物の所有権移転登記であれば、本則の税率は2%で、2026年3月31日までは特例として土地の登録免許税が1.5%に軽減される措置が取られています。
建物に関しては、対象の不動産が自己居住用で一定の要件に該当する場合にだけ受けられるさまざまな軽減措置が講じられています。
ローンを利用して不動産を購入した場合に設定される抵当権の登記費用も、本来の税率は0.4%である一方で、こちらも一定の要件を満たすマイホームの場合には0.1%です。
これらの要因から、マイホームを購入した場合と投資用物件を購入した場合では、登記費用にも大きな差が出ることに注意が必要です。
不動産購入時の税の優遇措置
これまで記した通り、不動産の購入で課される税金にはさまざまな優遇措置が設けられていますが、その大半はマイホームを対象としたもので、投資物件には適用されないものがほとんどです。
このため不動産会社で物件の購入を相談する際には、初めから投資用であることを明確に伝えておくことが望ましいでしょう。マンションの1室を購入して賃貸経営を始めようとしたところ、投資用であることを伝えていなかったために、不動産会社が試算した諸費用と実際の金額に大きな差異が生じるケースなども少なくありません。
税金の知識を戦略にいかすのが不動産投資
不動産投資では、正しい税金の知識を持って投資戦略に生かすことが欠かせません。もちろん利回りなどの数値も重要ですが、それによって得た利益を税金で減らしてしまっては本末転倒だからです。
仮に不動産所得が赤字であったとしても、損益通算で全体の節税につなげれば、その投資も意味のあるものといえます。
不動産投資で成功するためには、単独の事業計画はもちろんのこと、他の事業に与える影響なども考慮して戦略を立てることが大切なのです。
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