2024年3月27日
不動産投資、新築物件と中古物件、どっちを選ぶべき?
不動産投資と聞くと、どんなイメージが浮かぶでしょうか? 多くの人にとって、不動産投資は安定した収益を期待できる堅実な投資手段の一つです。しかし、新築不動産と中古不動産に投資することの間には、重要な違いがあります。新築不動産はピカピカの状態で入居者を迎えることができる一方で、中古不動産は価格の魅力と購入後の付加価値向上の余地を秘めています。このコラムでは、それぞれの投資戦略の細かな違いを解き明かし、投資家が自身のポートフォリオに最適な選択をするための洞察を提供します。新築と中古、それぞれの不動産投資のメリットとリスクを検討することで、賢明な投資判断の一助となるでしょう。
新築投資とは
不動産投資の王道「新築投資」
車の世界に新車と中古車が存在するように、不動産市場にも新築物件と中古物件があります。新築投資は新車購入に似ており、投資家が物件の最初のオーナーとなります。この種類の不動産投資は、築年数が0年または1年程度の新しい物件を対象としています。投資家は更地を購入し、そこに新しい建物を建築する場合もありますし、完成して全室が入居者で満たされた状態の物件を購入することもあります。これらの物件には家賃保証やサブリース契約が付随しているケースが多く、これにより収入の安定性が高まります。資産を増やすための不動産投資方法として、新築投資は一般的で王道とされる手法の一つです。
新築投資のメリット
新築投資にはいくつかのメリットがあります。まず、資産価値が高いために金融機関からの評価が得やすいという特徴があります。そのため、融資を受けやすく、その金額や期間が長く設定される傾向にあります。また、新しい物件は人気が高いため、簡単に満室状態になります。入居の入れ替わりや修繕の必要性が少ないため、トラブルが少なく、時には「持っていることを忘れてしまう」ほどだといいます。
すべての設備が新しいため、購入後に不具合が起きにくいという安心感もあります。退去や修繕が少ないので、計画された事業計画からの逸脱があまりありません。
売却の際も、築年数が浅いのはメリットがあります。所有して数年経っても建物は比較的新しく、再販売時に買い手を見つけやすいため、出口戦略を立てやすいのです。
これらを総合すると、新築投資は管理の手間が少なく、安定した収入を得られる可能性が高いという利点があります。
新築投資のデメリット
新築投資にはデメリットもあります。新築物件は中古物件に比べて、利回りが低くなる傾向があります。また、新築物件は希少性が高いため、市場内での競争が激しくなることがあります。短期間で売却を目的として更地を購入し、建物を建築する場合には、宅地建物取引業の免許が必要になる場合があるため、その点も考慮が必要です。減価償却期間が長くなりがちなため、所得税の節税のメリットはあまりありません。そして、信頼できる業者を見つけるためには、時間と労力をかけて適切な業者探しをしなければならないという手間があります。
中古投資とは
個性あふれる「中古投資」
中古投資は新築投資とは逆のアプローチで、築年数が経過した物件に投資することを言います。中古物件と一口に言っても、築5年未満の比較的新しい物件から、耐用年数を超えた物件までその範囲は非常に広いものがあります。
中古物件の特徴としては、既に人が住んでいるか、何らかの用途に使われている点が挙げられます。京町家のように歴史的な価値がある物件もあり、それぞれの物件には個性が存在します。中古物件の投資では目利きが重要であり、そのため専門知識を持つプロに適した投資と言えます。
中古投資のメリット
中古投資は新築投資と比較していくつかのメリットがあります。まず、新築物件に比べて利回りが高く設定されていることが多いです。既に入居者が存在しており、賃貸契約や敷金を引き継ぐため、即時の収入が見込める場合があります。また、中古物件は数が豊富であり、それぞれに独自の特徴や個性があります。
これにより、投資家は自分の投資方針に合わせて多様な選択肢から物件を選ぶことができます。さらに、中古物件の投資は単に経済的なリターンを求めるだけではなく、町おこしや地域活性化への貢献といった、社会的な目的や達成感を得ることも可能です。
高い利回りが期待できるので、見る目さえあれば、短い期間により多くの収益が得られる可能性があります。
中古投資のデメリット
中古不動産投資にはいくつかのデメリットがあります。銀行は物件を評価する際に築年数を重視するため、物件の個性はあまり評価されにくいです。このため、中古物件に対する融資の期間や金額が伸びにくい傾向にあります。空室リスクも高く、一旦空室が発生すると再度埋めるのが難しいことがあります。
また、修繕費用がかかることが多く、予期せぬ出費が続くこともあります。利回りが高いとされる中古物件ですが、計画通りに運ばない場合もあります。
利回りが高いというのはそれだけ価格が安いことを意味しており、価格が安いには何らかの理由があることが多いので、その理由を見極める必要があります。高収益を期待しても、現実には期待に満たないことがあり、失敗すると大きな損失を抱えるというリスクが。
さらに、減価償却期間が終わると税金の面で不利になることもあり、「デッドクロス」と呼ばれる状態に陥ることがあります。また、物件の価値は経年と共に下がるため、高経年の物件は相続税対策には不向きです。
これらの理由から、中古物件投資では物件の目利き力が非常に重要となります。そのためには、プロの不動産業者に負けない知識と経験、業者とのネットワークが必要になります。
こんな方にはこれがおすすめ
自己資金があまりない方
融資の評価が高い新築がおすすめ。なるべく多くの金額を長い時間で借り入れて、自分の資金を最大限に生かしましょう。(レバレッジ)中古物件の場合、入退去時や共用部の修繕など追加費用が必要になることも。新築であればそれらの懸念も少ないです。
退職金など老後の資金を運用したい方
安定収入が得られる新築がおすすめ。管理会社からの退去があったときのことを想像してください。
まず、いつ退去するのか?それに合わせて室内のチェックはいつできるのか?次の入居者のためにはどの部分を修繕する必要があるか?クリーニングで済ませられるのはどこか。いくらかかるのか。どの業者をいつ手配するのか。その作業が終わるのはいつで、次の募集はいつ始められるのか。そういったことを逐一管理会社の担当者から相談され、その都度、意思決定をしていく必要があります。
もちろん、募集にあたっては、修繕費、仲介手数料、広告費などもかかります。一言でいうとものすごいストレスです。
新築であれば退去が少なく、また、物件そのもののトラブルも少なめ。老後の安定した収入を期待する場合、まずは新築を検討しましょう。
所得税や社会保険料を節約したい高収入サラリーマン
不動産の取得費用は複数年にわたって費用化する必要があります。これを減価償却といいますが、築古の中古物件の場合、この期間が短くなります。たとえば、木造物件の場合、新築なら22年ですが、築古なら最短4年になります。
つまり、単年度の費用にできる金額は5倍以上になります。そうすると、キャッシュフローは黒字でも、申告書上は赤字ということが実現できます。高収入なサラリーマンのかたは、給料のプラスに対して、不動産のマイナスをぶつけることで所得を圧縮し、所得税と社会保険料を減らすことができます。
築古物件を取得することによる節税は、誰にでも効果があるものではなく、一般的には、控除後の税率が33%となる年収1,100万以上の方にとってメリットがある方法となります。
利回り最優先な方
とにかく短期に収入を得たい。利回りを最優先したい、という方は中古物件を探すことになります。地方、築古の物件であれば、20%を超えるような超高利回り物件に出会えることも。もちろん、それだけの高い利回りを持つ物件にはなにか理由があります。購入後になんらかの追加投資が必要になることもあるので、手元資金は必須です。
一方で、リノベーションをしたり、事務所だったものをホテルにコンバートしたり、など、工夫次第で収益性をさらに高めることもできます。時間に余裕があって、目利き力、アイデア・企画力、専門家のネットワークなどがある方はチャレンジしてみるのもいいかもしれません。
不動産投資の経験が十分ある方
高い利回りを得られる可能性がある中古物件がおすすめです。利回りが高いと言うことは値段が安いということ。安いのには理由があります。しかし、その理由がはっきりしており、自分の知恵と経験とネットワークでそれがカバーできるのであれば、それは大きなチャンスとなります。誰もが安心して投資できる新築物件ではなく、収益のためにあえてリスクを取りに行くことでより高いリターンを得ることができるようになります。
まとめ
以上が、新築投資と中古投資に関する整理になります。不動産投資は、他の金融商品への投資と違って、ひとつひとつ個性のあるものです。投資するならどんな不動産でもいい、というものではなく、その方にあった不動産を選ぶ必要があります。
そのための条件は、投資の目的や手元資金によって大きく左右されますが、それだけではありません。投資家の不動産の目利き力、客付や管理、修繕をしてくれる業者さんとのネットワーク、不動産を活かすアイデアなど、その方が持っている力によって、どのような物件を選ぶべきかというのは変わってきます。
特に、これから不動産投資をしたい、手堅く運用したい、という方はまずは新築から始め、経験値が溜まってきたところで中古物件にもチャレンジしてみる、というステップアップがいいかもしれません。
【関連記事】減価償却とは?概念や計算方法、不動産投資への活かし方を解説
【関連記事】不動産投資の基本戦略◇リノベーション物件について
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