積算価格とは? その概要と計算方法を紹介

この記事でわかること

  • 積算価格とはどのような価格なのかについて知ることができる
  • 積算価格には複数の計算方法があり、それぞれ計算式が異なる
  • 総工費の一部が付帯費用として計上されることを知ることができる

借り手が不動産投資のためにローンを組む場合、物件の評価額がいくらになるかということは非常に重要です。その物件の評価額が高ければ融資金額が多くなる一方、借りる期間が長くなる傾向があります。対して評価額が低ければ、借りる際の条件も厳しくなります。

金融機関が物件を評価する際に使っているのが「積算価格」です。この記事では、この積算価格について見ていくことにしましょう。

積算価格とは

積算価格とは、ずばり不動産の資産価値のこと。積算価格は、以下の計算式で求められます。

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積算価格=再調達原価ー原価修正額

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ここで再調達原価とは、新たに造成・建築した場合の価格のこと。再調達原価を求める方法には「直接法」と「間接法」があり、直接法では「標準的な工事費+発注者が負担すべき通常の付帯費用」によって求めます。対して間接法では、「その近隣地域かあるいは同一需給圏内の類似する不動産の直接工事費や間接工事費など」から類推します。原価修正額とはその名の通り原価を修正する額のことで、経過年数分を減額します。このようにして積算価格を求める方法を「原価法」と言います(原価法は、一般的に造成宅地や建物などに利用されます)。

なお、土地の場合、埋立地や造成地に適用することは可能ですが、既成の市街地については再調達原価を求めることが困難です。ゆえに、一般には土地に対して原価法は適用できません。

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建築費用の計算方法

ここでは、建築費用の計算方法について紹介します。一般的に建築費用は、以下の計算式で求められます。

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建築費用=坪単価×延床面積

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坪単価とは、一坪(約3.3平米)あたりの建築費を言います。延床面積とは、各階の床面積を合計したものです。それらを掛け合わせると、建築費用を計算することができます。新築物件と中古物件で坪単価に違いはありますが、新築物件が高騰している地域の場合、新築を諦めて中古物件を購入する顧客が増えるため、中古物件の坪単価も上昇します。

土地価格の計算方法

建築費用がわかったら、次は土地価格の計算方法です。土地価格は、基本的には「実勢価格」(時価)となります。求め方はいくつかありますので、それぞれ見ていきましょう。

公示価格から計算

まずは公示価格と呼ばれるものを使って計算する方法です。公示価格には「公示地価」と「基準地価」があります。前者は国土交通省が毎年1月1日を基準日として同年3月下旬に発表します。後者は都道府県が毎年7月1日を基準日として9月下旬に発表します。これを用いた計算式は以下。

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実勢価格=公示価格(公示地価or基準地価)×土地面積×1.1

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※あくまでも目安。都市部は実勢価格が変動しやすい傾向がある。

固定資産税評価額から計算

次に、固定資産税評価額から計算する方法です。固定資産税評価額は、市町村(東京23区は東京都)が3年ごとに見直されます。注意点としては、固定資産税評価額は公示価格の70%の水準になるように調整される点です。計算方法は以下。

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実勢価格=固定資産評価額÷0.7×1.1

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※あくまでも目安。

路線価から計算

続いて路線価から求める方法です。路線価は国税庁が毎年1月1日を基準日として、同年7月上旬に発表します。路線価は一般的には相続税や贈与税を算定するために用いられます。注意点としては、路線価は公示価格の80%水準になるように調整されています。計算方法は以下の通りです。

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実勢価格=路線価×土地面積÷0.8×1.1

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※あくまでも目安。路線価は「土地の1㎡あたりの㎡単価」であるため、土地面積を掛けている。

過去の取引価格から計算

そのほか、過去の取引価格から土地の価格を算定する方法もあります。国土交通省の「不動産取引価格情報検索」を使えば、所有する土地に近しい条件の取引情報を調べることができます。これを元に、以下の計算式を使えば土地価格の目安がわかります。

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実勢価格=条件が類似する土地の㎡単価×所有する土地の面積

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※あくまでも目安。土地の㎡単価は上記情報検索のサイトに掲示されている。

付帯費用とその計算

建物の建築以外にも、付帯費用というものがかかります。これは地盤調査・改良工事費や給排水工事などのことで、付帯費用が総工事費に占める割合はおよそ20%と言われています。また空調設備や照明機器の取り付けなどもこれに含まれるため、住宅を建てる場合にはある程度資金に余裕を持たせることが必要です。

積算価格のコントロール

積算価格は金融機関の担保査定によく使われるため、「高く見せて融資が下りやすくしたい(金融機関側としては、「販売価格<積算価格」のほうが優良物件となる)」場合と、「低く見せてコストを下げたい」場合があると思います。積算価格を下げる方法は建物にお金をあまり掛けないことで達成できますし、積算価格を上げるには、リフォームにお金を掛けるという手もあります。意図的に上げ下げするのはあまり望ましくないですが、所有物件を貸す場合に魅力的に映るように戦略を練ることは大切なことであると言えます。

まとめ

以上、積算価格の計算方法などを見てきました。見ての通り、一言で積算価格と言っても、計算方法が多様であるなど、奥深い世界であることがわかっていただけたのではないかと思います。ぜひこの記事を何度も読んで、自分で計算できるようにしておきましょう。

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