入居人数が違う?賃貸経営に影響する3大トラブルと4つの対処法を解説

賃貸申込の際に「入居人数」を詳しく確認するのは、安全な賃貸経営を行ううえで重要です。入居人数に虚偽があることがきっかけでトラブルに巻き込まれる恐れがあり、賃貸経営に大きなダメージを与えかねません。

そこでこの記事では、賃貸経営で大きな影響がある「入居人数トラブル」について、以下の点を詳しく解説します。

  • 虚偽申込による契約解除の条件
  • 入居人数の虚偽による3大リスク
  • 入居人数の虚偽をさせないための対処法
  • よくある入居虚偽の事例

この記事を読めば、入居虚偽によるトラブルの防止が可能です。トラブルを防止できれば、入居者が住みやすくなり、賃貸経営の安定に繋がります。ぜひ参考にしてみてください。

意外に多い?!入居人数の虚偽申告

人数をごまかして入居する人は、意外に多いのが現実です。内見時や申込の時点でヒアリングを細かく行わなければ、入居人数の虚偽を見抜くのは難しいといえます。

ヒアリング内容としては、引越理由を聞くのがおすすめです。引越し理由があいまいな場合や、会話が不自然な場合は、さらに慎重な入居判断を心がけましょう。

実際に入居した後に、他の入居者からのクレームやトラブルが起きてから気付くことになるため、事前の確認が重要です。

申込内容に虚偽があれば賃貸契約を解除できる?

申込内容に入居人数の虚偽があるだけで、賃貸契約を解除できるか気になる方も多いのではないでしょうか。しかし実際に、申込内容に虚偽があるだけでは強制退去させるのは難しいのが現実です。

単なる「ウソ」だけでは難しい

一般的に入居申込の内容に虚偽があれば「契約解除」や「損害賠償」ができますが、以下のような条件があります。

  • 虚偽が重大である
  • 解除や請求を速やかに行う
  • 損害内容を具体化する

本来、大家さんからすれば入居人数の虚偽も重大であり「信頼関係の破綻」の認識になるのは当然です。

しかし、家賃をしっかり払っていて他の入居者に何も迷惑をかけていない場合などは「信頼関係破綻」に該当しない可能性があります。単なるウソでは契約解除や損害賠償請求ができないため、認識しておきましょう。

問題を起こしている場合は解除が認められる

入居人数の虚偽があるのと合わせて迷惑行為などの問題がある場合は、契約解除や損害賠償請求が認められる可能性が高いです。例えば、以下のような例があります。

  • 夜中に大声ではしゃぐなど生活態度が悪い
  • 家賃を滞納している
  • 近隣や他の入居者へ「嫌がらせ」などの迷惑行為を行っている

これらの迷惑行為があれば、賃貸契約を継続していくのが難しいと判断されるため「信頼関係が崩壊した」と認められるでしょう。

最終的には契約違反に対する法的措置を検討する

以下のようなケースが続けば、法的措置の検討が必要です。

  • 家賃の滞納が3ヶ月以上継続している
  • 何度も騒音を注意しているのに改善の余地がない
  • 迷惑行為が悪化して他の入居者の退去が増加している

「入居人数の虚偽記載」と「信頼関係の破綻」を理由に、契約解除違反による提訴を起こせば、正当な事由が認められて退去を命じてもらえる可能性も高いといえます。

入居人数の虚偽で大家さんや他の入居者に与える3大リスク

入居人数の虚偽があることで懸念されるのが、他の入居者とのトラブルです。入居同士のトラブルにより空室が増加すれば、大家さんへの影響も大きくなります。ここでは、入居人数の虚偽により大家さんや入居者に与える「3つのリスク」を紹介します。

騒音トラブルへのリスク

単身用の物件に複数の入居者が生活する場合、騒音トラブルになりかねません。人数が増えることで、生活音が大きくなるからです。

例えば、部屋で複数人による飲食をすればお酒の影響もあり声が大きくなりがちです。夜遅い時間まで騒いでいると多大な迷惑がかかります。さらに、子どもやペットがいる物件では、走り回る足音や鳴き声などが気になる場合があるでしょう。

入居者の中には「単身用は騒音も少ないだろう」という動機で住んでいる方もいるため、生活音が気になりやすいといえます。

隣人の退去リスク

入居人数の虚偽が原因で騒音トラブルになれば、退去する人が増加する恐れがあります。退去者が増加すれば家賃収入が減少するため、賃貸経営に大きな影響がでやすいです。また、騒音トラブルで退去する入居者は、Googleなどの「口コミ」で低評価をつける傾向が高くなります。

口コミの例

内容評価
単身用の物件なのに、多くの人が住んでいたため、騒音がうるさかった★☆☆☆☆
1人暮らし用物件なのに、隣の部屋は親子3人で住んでいた。大家さんや管理会社は、入居時に人数の確認を徹底していないのだろうか。★★☆☆☆

このような口コミ評価は、新たに入居者を募集する際に大きく影響するため、入居人数の確認を怠ってはいけません。 

犯罪リスク

入居人数の把握ができていない場合、身分が分からない入居者を住ませていることになります。万が一、犯罪のために部屋が利用されていれば風評被害だけでなく事故物件にもなりかねません。

また、外国人の入居者の方が、勝手にどんどん同居人を増やし、入れ替えていった結果、不法滞在の疑いがあるとして、関係当局に強制調査に入られる、ということも発生しています。

事件や犯罪が一度起こってしまえば、物件のイメージが悪くなるため今後の賃貸経営にも大きなダメージとなるでしょう。

入居人数の虚偽を二度とさせない3つの対処法

入居人数の虚偽をさせないためには、入居希望者へのヒアリングやコミュニケーションが必要です。ここで紹介する3つの対処法を、しっかり把握しておきましょう。

入居理由のヒアリングを徹底する

内見の際には、入居理由のヒアリングを細かく行いましょう。入居理由を確認することで、入居人数の虚偽を見抜ける場合があります。

例えば、入居理由があいまいな場合や入居人数を確認したときにあわてた様子を見せる人は注意して観察しましょう。さらに細かい内容までヒアリングしていくと、入居を諦めるケースがあります。

しかし、深く聞きすぎて不審に思われるケースもあるため、管理会社などと相談しながらヒアリングを進めると良いでしょう。

虚偽があれば「契約解除」になる旨を説明する

賃貸契約を交わす際に「虚偽による契約解除」の内容を入居者にしっかり伝えましょう。さらに契約解除だけでなく、損害賠償請求があることも合わせて伝えておくと虚偽を防ぎやすいです。

また、外国人の方には、不法滞在者を勝手に住まわせるなどした場合には入管当局への通報なども行うことを合わせて伝えるようにすれば、トラブルを減らす事ができるでしょう。

なお、身分証や勤務先の源泉徴収票を提出してもらうのも忘れてはいけません。入居者の情報を正確に把握しておけば、虚偽を未然に防げるためおすすめです。

プロである管理会社のサポートや助言をもらう

入居人数の虚偽を防ぐためには、不動産のプロである管理会社などにサポートしてもらいましょう。実績がある不動産管理会社なら、これまで様々な賃貸トラブルの解決を実現しています。トラブルになれば、法的な知識が必要になることも多いでしょう。

そのため、不動産のプロにサポートや助言をもらいながらトラブルを未然に防ぐことが重要です。

よくある入居人数虚偽の事例2選

ここでは、実際にあった入居人数の虚偽事例を紹介します。参考にしてみましょう。  

シングルマザー

母と子どもの2人で入居する、シングルマザーの方の事例です。

当初は2人で暮らしていましたが、恋人が出来て3人で暮らし始めました。しかし、恋人の暴力や怒鳴り声などで騒音が激しく、6部屋中3部屋空室に。結局、恋人の連絡先が分からなくなりシングルマザー本人も支払いができず、ケンカなどによる壁の穴や窓ガラスの破損費用などの原状回復費用は大家さんが全額することになりました。

入居人数の増員による届出を管理会社に行っておけば、彼の身分証や連絡先が分かり、費用の請求が可能です。申込時に、入居人数の届出を行う旨をしっかり伝えておけば防げた事例となります。

外国人

ここでは、外国人入居者の事例をみてみましょう。

外国人の賃貸契約には、在留カードの提出が一般的です。入居した外国人の方は、在留カードもあり、保証会社の審査にも通過したため入居を承諾しました。しかし、在留期間が過ぎた外国人の友人が一緒に住みつくようになり、結局逮捕されることに。空室も増加して、賃貸経営に大きなダメージです。

外国人の場合、オーバーステイの方のたまり場になる可能性があるため、速やかに対処するようにしましょう。外国語の契約書を作成して、相手が理解しやすいようにする工夫もおすすめです。

まとめ

入居人数の把握は、安定した賃貸経営を行ううえで重要であるといえます。申込の段階で、入居人数の虚偽があれば、犯罪リスクだけでなく、空室リスクにも大きく影響するからです。

この記事で解説した対処法をマスターしておけば、虚偽をさせない入居者管理ができます。経験豊富な管理会社と協力して、入居人数の虚偽をさせない賃貸経営を行いましょう。

関連記事