【必見】賃貸物件のゴミ屋敷に対応する6ステップ!リスクや対処法も解説

賃貸経営に大きな影響をもたらすのが、入居者による迷惑行為です。その中でも特に「ゴミ屋敷」は異臭やばい菌などが充満して、人体に悪影響を及ぼします。他の入居者に迷惑がかかり空室が増えれば、賃貸経営に影響がでるため困る大家さんも多いでしょう。

そこでこの章では、ゴミ屋敷に対する以下の内容を紹介します。

  • ゴミ屋敷に潜む3つのリスク
  • ゴミ屋敷に対応する6つのステップ
  • ゴミ屋敷を回避する3つの対処法

この記事を読んで、大家さんが事前にできることをしっかり確認しておきましょう。

ゴミ屋敷が起きる理由

賃貸物件でゴミ屋敷が起きる原因は、主に2つあります。

  1. 食生活の変化
  2. 生活する時間帯の変化

仕事から帰って家で自炊するのが面倒な場合は、コンビニ弁当などで済ませる方が多いです。夜に仕事がある方やゴミ出しの時間帯に寝ている方などは、捨てるタイミングを逃して部屋に溜め込むケースがあります。

その結果、他の住民からクレームが出るまで管理会社が気付かないケースも多いです。

ゴミ屋敷に潜む3つのリスク

ここでは、ゴミ屋敷になることで起きる3つのリスクを紹介します。賃貸経営に大きな影響があるため、注意しましょう。   

不衛生になり健康に影響する

ゴミ屋敷の影響で、入居者の健康に甚大な被害が出ます。不衛生になることで病気になり、以下のような症状になるため重大問題です。

  • 食中毒
  • 下痢
  • 嘔吐
  • 発熱
  • アレルギー

ゴミ屋敷がある物件に長期間住み続けると、重い病気になります。結果的に退去者が増えていき、賃貸経営に大きなダメージとなるため早急な対策が必要です。

火災の恐れがある

ゴミが部屋に蓄積されることで、火災になる恐れがあります。例えば、ホコリがコンセントに溜まって起こるトラッキング火災や、ネズミが発生してコードをかじることで引火するケースです。また、放火のターゲットになりやすいのもゴミ屋敷の特徴になります。

火災の被害が大きくなると、建物を取り壊すだけでなく死者が出る恐れがあり、大家さんの管理不足による責任問題になりかねません。火災や死者が出れば「事故物件」となるため、賃貸経営に大きく影響します。

他の入居者が退去する

ゴミ屋敷は様々なゴミが混じって、悪臭を放ちます。不快な臭いは他の住民に大きな影響を与えるでしょう。窓が開けられないことで空気の入れ替えや洗濯物も干せません。

快適に暮らせなくなり、他の住民の退去者が増加します。新たに入居者を募集しても、臭いが原因で空室を埋めるのが難しいです。さらに口コミなどで「ゴミ屋敷がある物件」という低評価につながるため、風評被害は免れません。

発見したらすぐ対応!6つのステップ

ここでは、ゴミ屋敷を発見した際の対処法を6つ紹介します。被害を最小限に抑えるためにも、速やかな対応が必要です。しっかり把握しておきましょう。

ステップ1. 口頭や手紙を送る

他の入居者からの申し出があっても、実際に自分自身の目で「ゴミ屋敷」の状態を確認することが必要です。まずは、口頭や手紙で本人に注意してみましょう。ゴミを片付ける意思が入居者にあれば、すぐに改善されるケースもあるため効果的です。

さらに、ゴミ屋敷が原因で火災や事件が起きても「口頭や手紙で改善を促した」という証明ができるため、大家さんの管理責任を問われにくくなります。

ステップ2. 連帯保証人に相談する

ゴミ屋敷の状態がひどい場合、退去時に多額の原状回復費用がかかります。万が一、本人が支払えない場合は連帯保証人への請求が可能です。

早い段階で連帯保証人に相談しておけば、ゴミ屋敷が改善できる可能性が高くなります。原状回復費用の負担を少しでも減らすため、ゴミ屋敷の解消に協力してもらえます。

ステップ3. 行政へ相談する

ゴミ屋敷が発生していることを、役所などの行政機関に相談してみましょう。現地のゴミ屋敷を調査して、行政指導や勧告により対処してもらえます。例えば、2015年に京都市で行政によるゴミの撤去が執行されました。

引用:京都市|本市におけるいわゆる「ゴミ屋敷」について

指導や勧告、命令があったにもかかわらず改善されなかったため、最終的に行政代執行による撤去が実現した事例があります。

なお、様々な自治体でゴミ屋敷に関する条例が制定されているため、行政への相談はおすすめです。

ステップ4. 内容証明書を送る

行政への相談と同時に、内容証明書を送りましょう。内容証明書とは、郵送した人や内容を郵便局が証明するサービスのことです。送付することで「忠告しましたよ」という証拠になり、部屋の明け渡し訴訟になった際に有利となります。また、弁護士などに依頼することで「弁護士名義の内容証明書」として送付できるため、改善するために効果的です。

ステップ5. 賃貸契約を解除する

内容証明書に記載の期日までにゴミの撤去を行わない場合は、賃貸借契約を解除できます。契約が解除になれば、入居者ではなくなるため退去が必要です。居座れば、不法占拠していることになり、強制的に入居者を追い出せます。

ステップ6. 法的措置による強制退去を請求する

賃貸契約解除後も、ゴミ屋敷が改善されず居座っている場合は、明け渡しの裁判となり強制執行の申立が裁判所より入居者へ送られます。それでも対応しなければ、強制的にゴミが撤去される流れです。

家賃滞納や迷惑行為がないと強制退去は難しい

強制退去を裁判所が判断するためには、家賃の滞納や近隣への迷惑行為がある証明が必要です。例えば、以下のような内容を考慮します。

  • ゴミの量
  • ゴミの種類
  • ゴミ屋敷状態の期間
  • 近隣への影響
  • その他家賃滞納などの迷惑行為

ゴミ屋敷の証拠や事実関係を明確にする必要があるため、不動産に詳しい弁護士などに相談するのがおすすめです。

ゴミ屋敷を回避するために大家ができる3つの対処法

ここでは、ゴミ屋敷を回避するために大家ができる対処法を4つ紹介します。ゴミ屋敷が悪化しないための方法になるため、しっかり確認しておきましょう。

賃貸契約書の特約事項で明記しておく

賃貸契約書の特約事項に以下のような内容を記載しておけば、ゴミ屋敷を事前に回避できる可能性が高くなります。

特約事項「入居者は、室内において危険、不潔、その他近隣の迷惑となる行為をしてはいけない」「改善されなければ契約解除となる」

ゴミ屋敷を未然に防ぐために、契約書にしっかり明記しておくことが必要です。契約の際に、細かく口頭で説明するのも忘れないようにしましょう。

入居者とのコミュニケーションを強化する

日ごろから、入居者とのコミュニケーションを取るのも大切です。入居者と信頼関係ができれば、生活ルールを守ろうという気持ちになります。

「大家さんに迷惑がかからないように、ゴミはルール通りに捨てよう」

「他の入居者に迷惑をかけるといけないから、溜まっているゴミを明日捨てよう」

意識が変わることで、生活スタイルの改善も可能です。積極的に入居者とのコミュニケーションを強化して、信頼関係を作りましょう。

直接入居者に会うのが難しい場合は、手紙やアンケートなどで不満点や困っていることを聞き出すのもコツです。

物件専用ゴミ捨て場を作る

物件専用のゴミ捨て場がない場合は、設置することをおすすめします。物件の敷地内など近くにあれば、入居者がゴミを捨てやすくなるため、ゴミ屋敷を回避できるでしょう。ゴミ捨て場の設置には、事前に自治体への相談が必要です。お住まいの自治体へ一度相談してみましょう。

自力でゴミ屋敷を掃除する際の注意点

すでに既存のゴミ捨て場がある場合は、きれいに掃除しておきましょう。きれいにしておくことで、入居者にとって気持ちよくゴミ捨てができます。業者に依頼する方法がありますが、自分で掃除することも可能です。

ただし1人では時間と労力がかかるため、2~3人の人手が必要です。軽トラックや掃除道具を準備して、ゴミ処理センターに持っていきましょう。

少額短期保険に加入しておくと安心

入居者がゴミの撤去費用を払えない場合や、逃げてしまった場合、大家さんが全額負担することになります。ゴミの量が多ければ、多額の撤去費用が必要です。

撤去費用負担を少しでも抑えるために「少額短期保険」に加入しておきましょう。少額短期保険とは、少額で短期間の保険だけを引き受ける商品です。100万円程度まで補償してくれるため、リスクを抑えられます。

ゴミ屋敷を補償対象としているかどうかを、あらかじめ確認しておきましょう。

まとめ

ゴミ屋敷が悪化すると、その部屋だけでなく他の入居者への健康被害や衛生面での問題が懸念されます。ゴミ屋敷を未然に防ぐためには、速やかな対処が必要です。

入居者のことを考えて、ゴミ捨て場の設置やコミュニケーションをとることは重要になります。安定した賃貸経営につなげるためにも、大家さんができることを率先して行いましょう。

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