賃貸物件で蜂の巣を作らせない予防策4選!除去する際の3つの注意点

賃貸経営では、入居者から様々なクレームがあります。一般的によくあるのが、騒音トラブルや設備の故障による水漏れなどのクレームです。

しかし、温かい季節になると「蜂の巣」に対するクレームも増えます。蜂の種類によっては命の危険があるため、嫌がる入居者が多いです。

そこでこの記事では、賃貸物件で蜂の巣を作らせない4つの予防策を紹介します。さらに、蜂の巣を除去する際に気をつける注意点も3つ紹介しますので、ぜひ最後まで読んでみて下さい。

蜂の種類や巣の特徴

蜂や巣には様々な種類や特徴があり危険度も違うため、しっかり見分けるのが重要です。この章では、蜂の種類や巣の特徴を紹介します。

ミツバチ

蜂の中でも体長は小さく、1センチほどの大きさです。人に危害を与えにくい温厚な性格のイメージがあります。しかし、人を刺すと他の蜂にも刺激が伝わるため、1度でも刺されると執拗に襲われるため注意が必要です。

巣の特徴は、平らな板が垂れ下がっているような形です。板状の巣が重なってできているため、1メートル以上の大きな巣になることもあります。元々は白い色ですが、密が集まるとオレンジ色に変化していくため特徴的です。

アシナガバチ

体長は約1〜2センチで、おとなしい性格です。足を下げて揺れながら飛行するのが主な特徴になります。基本的に人に危害を与えませんが、巣を攻撃したり触ったりすると攻撃してきます。

とはいえ攻撃性が低いため、人が通らない場所にある巣は無理に駆除しなくても良いでしょう。しかし、人が行き来する共用階段やエントランスなどにできた巣は、駆除するのがおすすめです。

巣の特徴は、おわんをひっくり返したような形です。巣の穴がむき出しで、15センチくらいの大きさになります。

スズメバチ

強烈な毒を持っており、毎年死者が出るほどの危険な昆虫です。大きさは約2〜3センチで他の蜂よりも大きく、約2~3センチに達することがあります。黒い体に、黄色い斑点や縞があり目立つ容姿です。

1つの巣には、数十から数百の個体が生息することがあります。巣に近づくと警戒し、刺される恐れがあるため注意しましょう。刺されると激しい痛みを感じ、アレルギー反応を引き起こす場合もあります。

作り始めの巣はトックリを逆さにしたような形ですが、最終的には大きな球体になります。茶色をしていて、表面にはマーブル模様があるのが特徴です。命にかかわる恐れがあるため、駆除をする際には専門業者に依頼するのをおすすめします。

蜂の巣が作られる原因

蜂の巣の役割は、卵や幼虫を外敵から守ることです。また、食べ物を保管する役割もあるため「子育てする空間」といわれています。

そのため「雨や風の影響が少ない場所」や「エサになる虫が多い場所」に巣が作られます。賃貸物件でよく作られる場所は、以下の通りです。

  • ベランダ
  • 窓枠
  • 共用階段
  • エントランス

物件内や室内に侵入する恐れもあるため、十分に注意しておきましょう。

蜂の巣を駆除する費用負担は場所によって変わる

賃貸物件の場合、巣がある場所によって費用負担が変わります。大家さんが負担する場所を確認しておきましょう。

共有部分なら大家さん

物件の共用部分に巣がある場合、大家さんの費用負担で撤去が必要です。共用部分は以下の場所を指します。

  • エントランス
  • 共用廊下
  • 共用階段
  • エレベーター
  • 駐車場
  • 外壁
  • 屋根
  • 屋上
  • 配管
  • 樹木や植栽

物件を管理している大家さんには、入居者が快適に生活できる環境作りを行う義務があります。蜂の巣を見つけたり、入居者から駆除の要望があったりした場合は、早急に対応しましょう。

専有部分なら入居者

専有部分にできた巣は、入居者の負担で駆除してもらうケースが多いです。具体的に、以下のような場所を指します。

  • ベランダ
  • 窓のサッシ
  • 網戸
  • 専用の庭
  • 軒下
  • ドア

入居者には「善良な管理者の注意義務」があります。部屋に住んでいる以上、維持や管理は責任をもっておこないましょう」という考え方です。

例えば、湿気が部屋にこもらないように換気をすることなどが主な例になります。蜂の巣駆除も維持管理に該当するため、専有部分にできた巣は入居者自身での駆除が必要です。

【注意】専有部分でも大家さんの費用負担になるケースも

専有部分でも、状況次第では大家さんの費用負担で蜂の巣を撤去するケースがあります。例えば「巣が大きくなりすぎて、自分では撤去できない」「小さな子どもがいるため、無理に駆除して危害があったら怖い」などの状況です。

このような緊急な状況であれば、速やかに撤去するようにしましょう。なお、入居者から毎月の家賃と一緒に管理費や共益費を払ってもらっている以上、専有部分だとしても、大家さん負担で撤去すると入居者から喜ばれます。

さらに賃貸契約前に「蜂の巣を発見したらまずご連絡ください」と一言添えるだけで、入居者からの評価が高くなり、安定経営にも繋がります。

蜂の巣ができる前の予防策

蜂の巣を作らせないためには、事前の予防策が重要です。ここでは、3つの予防策を紹介します。

蜂が好む「香り」を出さない

蜂は嗅覚が発達していて、遠くにある花の匂いや蜂のフェロモンなどを嗅ぎ分けるのが特徴です。そのため、蜂が好む匂いを出していないか、確認しておきましょう。

蜂が好む匂いには、以下のものがあります。

  • 体臭
  • 食べ物
  • 香水
  • 制汗剤
  • 花の香り

香りづけでエレベーターに芳香剤などを置くケースがありますが、香水のような匂いのものは避けるようにしましょう。さらに、お菓子の袋やアイスの棒などにも寄ってきやすいため、定期的な物件内外の掃除が大切です。

殺虫剤をまいておく

蜂の巣ができそうな場所に、あらかじめ殺虫スプレーをまいておくのが効果的です。新たな巣を作らないといわれる「夏以降」になってから殺虫剤をまいておけば、予防できます。

まれに夏以降も巣を作ることがあるため、気をつけましょう。冬場は蜂が冬眠に入るため、対策は不要です。春になるころには再び活動が活発になる恐れがあるため、対策しておきましょう。

木酢液をまいておく

木酢液は、蜂の巣を予防するためにおすすめのアイテムです。木酢液とは、炭を作る際に出る水蒸気を冷やして液体にしたもので、焚火のような匂いがします。蜂は火を恐れる特徴があり、木酢液の匂いがする近くには寄ってきません。

水でうすめてスプレーで撒いておく方法がおすすめですが、ペットボトルに入れた状態で穴を空けて設置しておく方法も効果があります。

蜂の巣を除去する際の注意点

ここでは、蜂の巣を除去する際に注意すべき3つのポイントを紹介します。安心して除去できるように、しっかり確認しておきましょう。

夕方以降に行う

蜂の巣の駆除は、日が落ちる夕方に行うようにしましょう。蜂は日中に巣の外で活動しているケースがほとんどです。昼間に蜂がいない巣を駆除するのは安全ですが、夕方蜂が戻ってきて再び巣を作ってしまいます。

一方、夕方は巣にも蜂が潜んでいるため、一気に駆除ができます。蜂の巣の駆除は夕方以降がおすすめです。

黒い服は避ける

蜂の巣を駆除する際には、服装選びが重要です。特に黒いものに反応する習性があるため、狙われやすくなります。黒に反応する理由は様々ですが、天敵である「熊」の色に近いからという説があります。

そのため、駆除する際に黒い服は避けて行いましょう。可能であれば、駆除用の防護服を身に付けるのがおすすめです。

手に負えない場合は専門業者への依頼を検討する

スズメバチなどの危険な巣の恐れがあるため、安易に駆除しないのも身のためです。どうしても手に負えない場合や、スズメバチの巣かどうか判断しにくい場合は専門の駆除業者に依頼しましょう。

巣の場所や大きさにもよりますが、最低でも1万円程度の料金が必要です。工事の事例は以下のようになります。

巣の場所大きさ料金
ミツバチキッチン換気扇作りかけ約10,000円
アシナガバチテラスの軒下5センチ約15,000円
スズメバチ屋根の軒下20センチ約27,000円

木の上や駆除がしにくい場所にある場合、追加料金が必要になるため確認しておきましょう。

まとめ

物件によっては、蜂の巣に対するクレームも多くあります。スズメバチなど、蜂の種類によっては命の危険があるため、嫌がる入居者が多いからです。

大家さんとして蜂の巣に対する駆除や対策をしっかり行っていれば、入居者の満足度も高まり、安定した賃貸経営に繋がると言っても良いでしょう。今回紹介した予防策や除去する際に気をつける注意点を理解して、入居者満足度の高い安定した賃貸経営を目指しましょう。

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