不動産投資のリスクとは

不動産投資は、安定した収益や資産価値の増加といった魅力を持っていますが、その一方で、市況の変動や予期せぬ修繕費用、入居者からの家賃滞納など、様々なリスクが存在します。投資家が成功するためには、これらのリスクを理解し、適切に対処することが不可欠です。このコラムでは、不動産投資のリスクとその対処法について説明します。

不動産投資はミドルリスク・ミドルリターン

不動産投資は「ミドルリスク・ミドルリターン」と言われます。「ミドルリスク・ミドルリターン」とは、不動産投資が比較的リスクが高い投資(例えば株式投資)と比較してリスクが低く、リターンも高い投資(例えば債券投資)と比較してリターンが低いとされることを意味します。つまり、不動産投資は比較的安定したリターンを期待できる反面、一定のリスクも伴うということです。

リスクを負わなければリターンを得ることはできません。しかしリスクが大きすぎると、最悪の場合、自己破産などの結果を招くことになります。

【不動産投資のリスク】多額の借金

不動産投資におけるリスクの一つは、多額の借金を背負う可能性です。

不動産投資はまず不動産を買わないことには始めることができません。そのため、不動産投資は通常、銀行や金融機関からの融資を受けて行われるため、投資家は投資物件の購入にあたり、多額の借金を負うことになります。通常の住宅ローンの何倍もの金額を借りることにもなり、もし返済できないとなれば、自己破産につながる可能性があります。

借り入れをする際に決して無理をしないこと。そして、借り入れと返済をしっかり管理していくことが何より大切です。

【不動産投資のリスク】空室リスク

空室リスクは、不動産投資における重要なリスクの一つです。空室リスクとは、投資物件が長期間入居者がおらず、家賃収入が得られない状態になることを指します。空室が続くと、投資家は家賃収入を得られないだけでなく、管理費やローンの支払いなどの固定費が重くのしかかり、投資の収益性が大きく損なわれる可能性があります。

空室リスクを軽減するためには、適切な入居者募集や入居者の定着を図るための管理が重要です。また、複数の投資物件を所有することで、一部の物件の空室が生じても他の物件からの収入でリスクを分散することも考えられます。空室リスクを十分に理解し、適切な対策を講じることが不動産投資の成功には欠かせません。

【空室の原因】需要の急な変動(企業・学校の移転)

不動産の購入を検討する際に、近くに雇用を支える大企業や学生を多く抱える学校があることをプラスの要素として魅力に感じる人は多いでしょう。

しかし、不動産投資における大きなリスクの一つは、企業や学校の移転など、急激な需要の変動です。例えば、特定の企業がある地域に拠点を置き、その企業が突然の移転や倒産、あるいは学校が別の場所に移転してしまうなどでその地域から撤退する場合、その存在が大きな需要を支えていた不動産物件は突然窮地にみまわれることがあります。このような場合、需要が戻るのは難しく、投資物件の売却価格も下がり、投資家は足元を見られて安い価格でしか売却できない可能性が高まります。

このような状況下では、投資家は月々のローン返済などの固定費を支払うために現金を必要としますが、物件の価値が急速に下がるため、売却してもまとまった現金を得ることが難しくなります。その結果、月々の返済が厳しくなったり、売却しても残債が残ってしまうなど、投資家にとっては大変な事態に陥る可能性があります。

このようなリスクを踏まえて、投資家は地域の需要動向や企業の動向など、投資物件の周辺環境をよく調査し、リスクを最小限に抑える対策を講じることが重要です。

【空室の原因】事故

不動産投資における避けられないリスクの一つとして、賃貸している部屋で入居者がお亡くなりになるなどの事故が発生する可能性です。

このような事故が発生すると、その部屋や物件が一時的に利用できなくなる可能性があります。これにより、賃料収入の減少や、修繕費用、清掃費用などの追加費用が発生する可能性があります。また、事故現場のイメージが残り、再び入居者を募集する際には入居率が低下する可能性も考えられます。

一方で、事故が発生することによるリスクは、よほどの大事件でない限りは限定的です。そういった事故に対する様々な保険もあります。落ち着いて適切な対処をしていくことで、損失をある程度カバーできるタイプのリスクといえます。

【不動産投資のリスク】家賃相場下落

不動産投資をする場合、収益の源泉は入居者様からいただく家賃です。家賃相場が下落すると、思うように家賃が入金されず、投資物件からのキャッシュフローが安定しなくなる可能性があります。これにより、投資家は物件の維持管理やローンの返済などに困難を強いられることがあります。

家賃収入が減少すれば、修繕などに十分な費用をかけることができなくなり、結果として入居率も下がる原因となります。投資家は資金繰りに苦しみ、ローンの返済がままならなくなる可能性があります。また、家賃相場の下落により、物件の売却価格も下がる可能性があり、投資家は損失を被る可能性もあります。

このようなリスクを踏まえて、投資家は市場の動向を常に注意深く見極め、リスクを最小限に抑えるための対策を講じることが重要です。例えば、複数の物件を所有し、リスクを分散することや、適切な家賃設定や入居者の選定など、物件の管理や運営に細心の注意を払うことが必要です。

【不動産投資のリスク】修繕

修繕費用の増大もまた、不動産投資のリスクです。投資物件は経年劣化や災害などにより、定期的な修繕やメンテナンスが必要となります。しかし、修繕費用が予想以上に増大すると、投資家の収益を圧迫する可能性があります。

修繕費用の増大にはさまざまな要因が考えられます。例えば、建物の老朽化による大規模な改修や、予期せぬ災害による修繕などが挙げられます。また、入居者の管理不行き届きによる部屋の損傷や、施設の設備の老朽化による修繕も修繕費用を増大させる要因となります。

修繕費用が増大すると、投資家は予想外の負担を強いられることになります。修繕費用が予算を超えると、投資家は追加の資金を調達しなければならず、資金繰りに影響が出る可能性があります。さらに、修繕費用の増大が長期化すると、投資物件の収益性が低下し、投資家の収益が損なわれる可能性もあります。

このようなリスクを踏まえて、投資家は定期的なメンテナンスや修繕計画を立て、修繕費用の予算を十分に考慮した運営計画を策定することが重要です。また、入居者との契約においても、修繕費用の負担を明確にすることで、修繕費用の増大を回避するための対策を講じることが必要です。

【不動産投資のリスク】災害

不動産投資におけるリスクの一つに、災害が挙げられます。災害とは、水害や地震などの自然災害を指しますが、それだけではなく、酷暑や厳冬、大雪、台風などの気象条件による災害も含まれます。これらの災害は、投資物件や周辺地域に甚大な影響を与える可能性があります。

水害や地震などの自然災害は、建物や設備の損傷、入居者の安全確保、物件の利用停止などさまざまな影響をもたらす可能性があります。特に地震の場合、建物の構造に問題がある場合には、建物全体が倒壊する危険性もあります。また、酷暑や厳冬、大雪などの気象条件による災害は、建物や設備の劣化や損傷、入居者の生活環境への影響などが懸念されます。

これらの災害が発生すると、投資家は修繕や復旧にかかる費用や、入居者の安全確保、物件の再利用可能性の損失などに直面する可能性があります。また、災害によって物件の価値が低下し、売却時に損失を被る可能性も考えられます。

不動産はその名の通り、動かすことのできない資産ですから、災害を避けるには、危ない地域を選ばないようにすることが一番の対策になります。

また、一つの物件だけではなく、複数のエリアに複数の物件を持つこともリスク分散に役立つでしょう。

まとめ

不動産投資には多くの魅力がありますが、同時に様々なリスクも伴います。空室リスクや家賃相場の下落、修繕費用の増大、災害など、予期せぬ事態に対処する必要があります。これらのリスクを適切に管理し、投資物件の価値を維持・向上させるためには、地道な調査や計画、そして適切な対策が欠かせません。不動産投資は確かな資産形成手段である一方で、リスクを十分に理解し、柔軟かつ的確な判断を行うことが成功への道を拓く鍵となります。

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