2025年1月14日
資金管理の重要性
資金管理とは
不動産投資をするにあたって、資金管理という考え方は非常に大切です。しかし一般に不動産投資の勉強をするときに資金管理の考え方が出てくる事はあまりありません。それは不動産投資が不動産を購入してから初めて開始すると言う特殊な方法であり、他の投資にあるような売りから入ると言うことがあまりないためです。しかし、不動産投資においても資金管理という考え方は非常に重要です。この記事では、不動産投資における資金管理について説明をしたいと思います。
資金管理とは、その名の通り、資金を管理することです。「資金計画とも言います。最初に自己資金があり、不動産を担保にして借り入れを行います。これが元手となる部分です。元手で不動産を購入し、それに対して毎月の家賃が入ってきます。そして借入金の返済と諸費用が出ていきます。これがキャッシュフローです。元手に対してキャッシュフローをどの程度見込めるのか。また、災害やトラブルなどで想定外の出費があることも考えられます。それに備え、どれだけの手元現金を残しておけば、そういったトラブルに対応することができるのか、その辺を検討して計画を立てることが資金計画の第一歩です。
主な必要経費
管理費
賃貸している物件を管理するのにかかる費用です。入居者様のからの連絡を、いちいち大家さんが受けていたら大変ですから、物件の管理は管理会社に頼むことが一般的です。管理会社には、入居者様とのトラブル対応や修繕の対応などをお願いすることになります。標準的な費用としては、基本的な管理費用がその月の家賃の5%で、それに修繕や募集にかかった費用などが求められます。
修繕積立金
区分所有物件の場合、大規模修繕に備えて修繕積立金を求められるのが一般的です。それに加えてマンションの管理組合の費用もかかります。区分所有ではなく、自己所有の場合であっても修繕に対して積み立てておくことが必要です。10年20年と立てば、やはり外壁塗装や屋上防水、配管の修理、エレベーター、共用部の修繕等がかかってくるためです。
水道光熱費・通信費
共用部分の水道光熱費はオーナーが負担する必要があります。また、最近ではインターネットを標準装備にしている物件が多くなっています。この場合も通信費用はオーナーが負担することになります。金額としてはあまり大きなものではありませんが、漏れがないように確認をしておきたいところです。
修繕費用
外壁塗装や牧場、防水等の大規模な修繕ではなくても、日常的に修繕は発生します。これも大家さんが負担して支払う必要があります。どのくらいの金額がかかるかは物件によって異なります。区分所有のマンションであればそれほどかかる事はないでしょう。逆に一軒家や築古アパートなどの場合、想定想像以上に費用がかかることがあります。 新しい物件であれば、年間家賃の2%程度。古い物件なら、10%程度は見込んでおきたいところです。
返済
借入金の返済金額は、 元金の返済と利息の返済に分かれます。一般的には元利均等払いとして毎月定額を支払う形になっていることがほとんどです。ただし金利が急上昇した場合などは金額が増額になる場合もあります。
保険料
保険に関わる費用です。ほぼすべての物件オーナーが火災保険・地震保険に加入しています。これは建物全体にかかる部分で、共用部分や躯体に損害が発生した場合に、それを補填してもらうためのものです。また、 入居者様からの回収リスクを軽減するために保証会社を利用することがあります。 入居者様の費用で入ってもらうことがほとんどですが物件オーナーの負担で加入する場合もあります。 さらに、最近では、孤独死が発生した場合の特別清掃のための費用への保険もあります。また、施設の不備が原因で誰かに損害を与えてしまったときに保証となる施設賠償責任保険などもあります。
租税公課
不動産賃貸業の経営は税金と上手に付き合う必要があります税金については様々なものがありますので、次の章でご説明します。
税金について
不動産取得税
不動産を取得したときにかかる税金です。通常取得したときに一回だけかかる税金です。 しかし、取引があれば必ず発生しますので、例えば自分が持っている法人から個人所有に変更する場合や親が持っている不動産を自分が取得する場合などでも不動産取得税はかかります。
固定資産税・都市計画税
まとめて「固都税」と言われることもあります。土地や建物を持っている限り、毎年必ずかかる税金です。住居向けにはさまざまな軽減措置がありますので、忘れずに申請するようにしましょう。
法人税・個人所得税
不動産から得られた利益に対してかかる税金です。収入から費用を引いた残りの利益に対してかかります。ただし、不動産投資の場合、収入のうち「敷金」などは資産となりますので入金された時点では税金がかかりません。逆に、返済費用のうち、利息部分は費用となりますが、元本部分は費用とはなりません。また、物件購入費用は耐用年数に応じて減価償却をしていきますが、それらは費用となります。このように、単なるキャッシュフローではなく、税務上の利益金額が計算され、そこにに対して、法人税・個人所得税がかかります。
なお、この計算を間違えると、キャッシュフローのプラスを超える税金がかかり「デットクロス」と呼ばれる状態になることもあります。
売却益にかかる税金
物件を売却したときにも税金がかかります。物件を売却した金額から、取得に要した費用を引いたものが売却益になります。これに対して所得税(法人)または、譲渡所得税(個人)がかかります。ただし、取得に応じた費用のうち、建物価格については、減価償却累計額を減じる必要があります。耐用年数を超えて一定期間経った物件の場合、建物価格はゼロとなってしまいますので、その分、利益が大きくなり、税金の支払額が大きくなります。法人の場合は不動産の売却益は他の損益と通算することができます。一方、個人の場合は他の収入と通算することができない他、5年以内の短期譲渡の場合、税率が倍になるというデメリットがあります。
資金計画の立て方
最後に、資金計画の立て方についてご説明します。
前年度だけではなく、過去3年程度の収入、支出を見る
中古物件を購入する場合、過去の運営実績を前のオーナーからもらうことができます。それによって、経費や税金がどのぐらいかかるか見積もることができます。しかし、簡単に前年度分だけを見るのではなく、過去3年程度の経緯を見るようにしましょう。固都税はあまり変わりませんが、修繕費用は複数年で大きく変動する場合があります。家賃についても同様です。
必要な支出の種類は限られているので、漏れが無いようにする。特に税金。
不動産賃貸の場合、想定外の費用、支出というのはあまりありません。したがって、資金管理・資金計画についても、特殊なシミュレーションソフトを利用したりする必要はなく、みなさんがお持ちの表計算ソフトで十分です。特に重要なのが税金です。毎年の収支がどのぐらいになるか事前に想定ができますので、それに合った費用の計画を立てて、税金の支払いを少しでも計画的にすることが大切です。
資金管理に関するよくある誤解と質問、その回答
資金管理に関するよくある誤解
初期投資がすべてをカバーすると思っている
- 誤解: 不動産購入後に追加費用はほとんどかからないと考えがちです。
- 実際: 固定資産税、修繕費、管理費などの維持費が必要です。これらを見落とすと資金繰りが厳しくなる可能性があります。
すべての物件が収益を生むと思い込む
- 誤解: 不動産はどんな状況でも価値が上がる、または安定した家賃収入が得られると考えること。
- 実際: 立地や物件状態、経済状況により家賃相場が変動し、空室リスクもあります。
借入を最大化すれば投資効率が上がる
- 誤解: フルローンやオーバーローンを利用すれば、自己資金が少なくても高いリターンを得られると考えること。
- 実際: 借入過多は金利負担や返済負担が大きくなり、キャッシュフローが悪化するリスクがあります。
将来の修繕費を軽視する
- 誤解: 建物が新しい間は修繕費がかからないと過信する。
- 実際: 築年数が進むと共に修繕費が増加します。長期的な計画が必要です。
資金管理に関するよくある質問とその回答
Q1. 不動産投資を始める際、どれくらいの自己資金が必要ですか?
A: 自己資金は物件価格の20~30%が目安です。これに加えて、諸費用(仲介手数料、登記費用、火災保険料など)が物件価格の7~10%程度必要です。
Q2. 資金管理を効率化するにはどうすればよいですか?
A: 以下の方法が有効です:
- 毎月の収支を記録し、キャッシュフローを可視化する。
- 空室や修繕に備えた「予備費」を積み立てる。
- 不動産管理会社を活用して運営効率を上げる。
- 専用の不動産投資向け管理ツールを利用する。
Q3. 空室リスクにどう対応すればいいですか?
A: 購入前からリスク管理は始まっています。
- 入居需要の高い立地を選ぶ。
- 賃貸条件(家賃や契約内容)の見直しを柔軟に行う。
- 複数の物件を持つことでリスク分散する。
- 早めに信頼できる不動産管理会社と連携する。
Q4. 借入金の返済計画はどう立てればよいですか?
A: 事前のシミュレーションが必須です。
- 毎月の返済額が賃料収入の50~60%以内に収まるよう計画を立てる。
- 短期の返済期間ではなく、余裕を持った長期ローンを検討する。
- 借入先の金利条件をよく比較し、最適な金融機関を選ぶ。
Q5. 修繕費の積立はどれくらい必要ですか?
A: 築年数や物件規模にもよりますが、年間家賃収入の10~15%を目安に積み立てるのが一般的です。
3. まとめ
不動産投資では、初期費用だけでなく長期的な維持費やリスクへの備えが重要です。誤解を解消し、正しい知識に基づいた資金管理を行うことで、安定した投資運用が可能になります。綿密な計画を立て、予測不能な事態にも対応できるよう、常に余裕を持った資金繰りを心掛けましょう。
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