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2024年12月24日

最新AIによる市場分析 投資するならどっち?【葛西 VS 赤羽】

葛西と赤羽は、どちらも東京都内でアクセスの良さや住みやすさから人気のエリアですが、それぞれ異なる魅力と課題を持っています。

本記事では、「ファミリー層に根強い人気を誇る住宅地・葛西」と、「利便性と賑わいが魅力のターミナルエリア・赤羽」について市場動向を比較します。2つのエリアにおいて、新築一棟アパート投資をするのにおすすめのエリアは一体どちらなのか、コスト面や収益性から考えていきましょう。

【この記事で分かること】
・東京都内で人気の「葛西」と「赤羽」のエリア特性や魅力を詳しく解説します。
・両エリアにおける「ワンルーム物件」と「ファミリー向け物件」の利回りやコストを比較し、収益性を検証します。
・葛西のファミリー向け物件が抱える収益性の課題について解説しています。

新築一棟アパート投資をするなら?2つのエリアの特徴

リスク分散がしづらい新築一棟アパート投資を検討する際、エリア選びは特に重要なポイントです。単に立地が良いだけでなく、地域の成長性が見込めるかをしっかり見極めることで、不動産投資の成功へとつながります。

葛西(東京都 江戸川区)の特徴

葛西は東京都江戸川区に位置し、交通アクセスと住みやすさが魅力のエリアです。東京メトロ東西線で大手町まで約20分と通勤・通学に便利で、バス路線や道路も整備されており、移動しやすい環境が整っています。

葛西エリアの魅力の一つが、自然豊かな環境です。シンボル的存在である「葛西臨海公園」には広大な芝生広場や水族館、観覧車があり、週末には多くのファミリーが訪れます。また、「行船公園」や「総合レクリエーション公園」なども点在し、子育て世代から高い支持を得ています。

教育環境も充実しており、周辺には小学校や保育施設が多く、ファミリー層にとって住みやすい環境です。加えて、賃料相場は都心に比べて手頃なことから、安定した入居需要が期待できる点も投資家にとって大きな魅力です。

このように葛西は、利便性・自然環境・教育環境のバランスが取れたエリアであり、ファミリー層を中心に長期的な賃貸需要が見込める安定した投資先として注目されています。

赤羽(東京都 北区)の特徴

赤羽は東京都北区に位置し、交通アクセスの良さと活気ある街並みが特徴のエリアです。JR赤羽駅は京浜東北線や埼京線をはじめ、複数の路線が乗り入れており、新宿・池袋・東京駅まで約20分圏内と、都心へのアクセスが非常に便利です。また、埼玉方面へのアクセスも良好なため、幅広い層から高い人気を得ています。

赤羽エリアの魅力は、生活利便性の高さです。駅周辺には「アピレ」や「イトーヨーカドー」などの商業施設が集まり、飲食店や買い物スポットも豊富です。特に飲み屋街として有名で、単身者や若年層に人気があり、夜も賑わいを見せています。

一方で、少し離れると落ち着いた住宅街が広がり、住環境も整っています。単身者向けの1Kや1LDKが中心ですが、駅近物件の需要が高く、高い稼働率を維持しやすいことが不動産投資における大きな強みです。

さらに、再開発が進んだことで街全体の利便性や都市機能が向上しており、今後もさらなる発展が期待されるエリアです。

このように赤羽は、利便性・賑わい・高い入居需要が揃ったエリアであり、収益性を重視する投資先として注目されています。特に単身者向け物件では、安定した賃貸需要が見込める魅力的なエリアです。

一棟アパート投資の利回りをシミュレーション

2つのエリアにおいて同条件で「ワンルーム物件」と「ファミリー向け物件」を建てた場合の想定利回り、予想家賃について考えていきましょう。

物件の試算条件

最寄り駅から徒歩10分(800m)程度の物件、試算条件は以下とします。

・ワンルーム物件:22㎡(6.65坪)×15戸、施工単価135万円/坪
・ファミリー物件:55㎡(16.63坪)×6戸、施工単価100万円/坪
※ワンルーム物件は1フロア5世帯、ファミリー物件は1フロア2世帯ともに3階建てとする。
※1フロアあたりの戸数を合計した延床面積は110㎡、共用部分を別途50㎡設ける。(160㎡=48.4坪)共用部分においても、施工単価は物件タイプ同様とする。
※建ぺい率を60%とし、敷地面積は267㎡とする。

土地価格は、不動産の取引価格や地価公示等の価格情報が閲覧できる国土交通省のWEBサイト「不動産情報ライブラリ」、またこれに基づいた公的土地評価情報を公開する株式会社Land Price Japanが運営する「全国地価マップ」をもとに独自調査しました。

葛西の一棟アパート投資の利回り

駅の東西南北でも雰囲気は大きく異なるため、同じ徒歩10分でも土地価格を一律に算出するのは困難です。

このことを前提としたうえで調査結果を平均的に見ると、本エリアで徒歩10分程度の立地における2024年時点での土地価格は、㎡当たり43万円程度が妥当といえます。

葛西
ワンルーム

専有面積:22㎡
間取り:1R
世帯数:15戸
ファミリー

専有面積:55㎡
間取り:2LDK
世帯数:6戸
土地価格11,481万円11,481万円
建物価格15,518万円11,495万円
物件総額26,999万円22,976万円
販売価格2億9,699万円2億5,273万円
家賃相場
チャレンジ家賃(月額)7.0万円13.0万円
標準家賃(月額)6.5万円12.2万円
安全家賃(月額)6.0万円11.5万円
利回り3.63%〜3.94%〜4.24%3.27%〜3.47%〜3.70%

赤羽の一棟アパート投資の利回り

次に、赤羽駅周辺エリアの収益性を見ていきましょう。

こちらも駅からの方位によって地価の違いがみられますが、徒歩10分程度では㎡あたり60万円程度です。

赤羽
ワンルーム

専有面積:22㎡
間取り:1R
世帯数:15戸
ファミリー

専有面積:55㎡
間取り:2LDK
世帯数:6戸
土地価格16,020万円16,020万円
建物価格15,518万円11,495万円
物件総額31,538万円27,515万円
販売価格3億4,692万円3億266万円
家賃相場
チャレンジ家賃(月額)8.3万円18.0万円
標準家賃(月額)7.8万円17.4万円
安全家賃(月額)7.3万円16.8万円
利回り3.78%〜4.04%〜4.30%3.99%〜4.13%〜4.28%

4パターンではどの不動産投資が成功しやすいか?

では、前章までに解説した4パターンの中で、不動産投資においてどれが最も成功しやすいかを考えてみましょう。

コスト面での比較

コスト面だけを見ると、以下のようになります。

物件タイプ販売価格(安い順)
葛西ファミリー向け2億5,273万円
葛西ワンルーム2億9,699万円
赤羽ファミリー向け3億266万円
赤羽ワンルーム3億4,692万円

赤羽は近年、人気が急上昇しているエリアであるため地価が高く、投資の初期コストがより多く必要になります。いずれも葛西エリアの方が安価に建築できるようです。

損益分岐点での比較

次に、損益分岐点を比較してみましょう。

 損益分岐点とは、総収入が総コストを上回り、利益がマイナスからゼロになる地点のことで、不動産投資の重要な指標です。

物件タイプ損益分岐点(早い順)
赤羽ファミリー向け24.16年
赤羽ワンルーム24.71年
葛西ワンルーム25.38年
葛西ファミリー向け28.77年

赤羽エリアは、ファミリー向けタイプとワンルームタイプの物件において、利回りや損益分岐点に大きな差は見られませんでした。また、葛西ワンルームにおいても、赤羽とさほど違いはなく、どちらも安定した利回りを期待できそうです。

葛西ファミリー向け物件の課題

葛西はファミリー層から根強い人気を誇るエリアですが、投資目線では家賃が思いのほかリーズナブルである点が課題となっています。

23区内でありながら、周辺エリアと比べると手頃な家賃設定が多く、ファミリー層にとっては住みやすい環境が整っています。そのため、長期的な賃貸需要や安定した入居率が見込まれる一方で、家賃収入の大幅な増加は期待しづらく、投資利回りが伸び悩みそうです。

さらに、ファミリー向け物件では設備や管理体制の質が重視されるため、維持費や修繕費が発生しやすく、利回りの低さがより顕著になる可能性も考えられます。需要の安定性という強みがある一方で、投資家にとっては収益性の確保が難しい点が課題です。

葛西エリアでファミリー向け投資を検討する際には、長期運用を見据えた慎重な収支計画が求められるでしょう。

まとめ

この記事では、葛西と赤羽の一棟アパート投資について解説しました。

葛西は地価が比較的安く、ファミリー層に人気のエリアで安定した入居需要が期待できます。しかし、家賃が手頃なため利回りの向上が見込みづらく、収益性の確保が課題です。

一方、赤羽は地価・家賃ともに高いものの、利便性と賑わいを強みに安定した入居需要を維持しています。ワンルーム・ファミリー向け物件ともに収益性が期待できる点で優位性が感じられます。

結果として、2つのエリアは「どっちもどっち」と言える部分もありますが、葛西のファミリー向け物件においては慎重な検討が必要です。家賃の伸び悩みや維持コストの面を考慮し、しっかり長期的な収支計画を立てましょう。

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